Xフォロワー数約5万人を誇るインフルエンサー「ドクターK先生」に、医師が匿名でもできるSNS活用術について教えていただく企画。第2回(全3回)では、無理なく始められるフォロワー数の増やし方と躓きやすいポイントについてでした。第3回は、『SNSで開けたキャリアとブログ運営のポイント』についてです。この記事を読むと、SNSを上手に運用すれば思いもよらない副業につながったり、新しいつながりを作れることがわかります。
ドクターK@眼科医パパ
眼科専門医兼医療ライター。眼科情報サイト『オンライン眼科』の記事執筆、運営。現在、m3や日経メディカルなど各種メディアで啓発活動のための記事作成、講演会などを行っている。
SNSを通じて得たキャリアの恩恵
SNSを通じて、私は予想以上のキャリア上の恩恵を受けました。SNSを始めた当初は、主に一方的な医療知識の共有が主な目的でしたが、今では多くのメリットを得られています。まず、新しい仕事の依頼が増えました。
例えば、さまざまなコミュニティからの講演依頼や、メディアでのインタビュー、さらには医療に関する記事の執筆依頼など、多岐にわたる機会がSNSを通じて生まれました。
また、SNSを通じて新たな人脈を形成することができました。これまでは物理的に近い場所でのネットワークに限られていたものが、SNSの力で関東の眼科医だけでなく、異なる視点や知識を持つさまざまな地域の医師との交流が可能になりました。
また、医師だけでなく、他職種の方との繋がりも得ることができました。この人脈の拡大は、単に仕事の幅を広げるだけでなく、医療に対する新たなアプローチやアイデアを生むきっかけにもなっています。
医師がブログやメディアを運営する際のポイント
僕はSNS(特にX)と同時に、ブログ運営も始めました。ブログが成功しているわけではないと思いますが、更新をほとんどしなくなってからも毎日1000pvほど閲覧されています。
また、ブログは自分の知識確認だけではなく、自分の記事作成のポートフォリオとしても役立っています。そのため、自分のコンテンツが何かあれば良いのですが、コンテンツを持っていない方にはブログ運営をおすすめしています。
しかし、ブログ運営にはいくつか注意点があります。
まず、医師としての信頼性を損なわないよう、コンテンツの正確性と信頼性を常に意識することが重要です。ブログやメディアは、SNSよりも長文の形式が多く、より詳細な情報を提供する場となるため、必ず根拠のある情報に基づいた記事を作成するように努めました。
今では当たり前ですが、ブログの最後には参考文献を付けています。始めた当時はそのようなブログは多くなかったですが、結果的にそれがサイト評価を上げることにも繋がっています。このように、医師が書いていることを示すだけでなく、記事自体の信頼性を担保するためには参考文献の明記が必要です。
また、ターゲット層を明確にすることも重要です。医療従事者向けに専門的な内容を発信するのか、一般の人々に対してわかりやすく医療情報を提供するのか、その方向性を明確にし、それに基づいたコンテンツ作成を心がけました。しかし、医師個人が一般向けの記事を書き、それが読まれるようになるのは困難です。健康情報に関しては、どうしても病院やクリニックなどが上位に表示されます。
そこで、僕はマイナーな疾患でブログ作成をしました。マイナーな疾患は、ロングテールキーワードに分類され、記事が書かれることは少ないため、サイトが上位に表示されやすくなります。
このマイナー疾患の記事を積み重ねることで、サイト自体の評価を上げていき、ある程度読まれるブログになったら、一般向けの記事を書くようにします。
これらが好循環となり、医師個人のサイトであってもよく読まれるサイトに成長します。
ここで1つ注意したいのが、サイトのテーマと関係のない記事は作成しないことです。ある程度読まれているサイトであれば良いですが、軌道に乗るまでは読者が離れる原因になるため、グッとこらえてテーマに沿った記事を書くようにしましょう。
SNS運用を始めたい医師へのアドバイス
これからSNS運用を始めたい医師に対して、いくつかのアドバイスをお伝えします。まず最初に取り組むべきことは、「自分が何を発信したいのか」を明確にすることです。医療に関する知識を共有するのか、自分の診療科に関する情報を発信するのか、あるいは個人としてのライフスタイルを含めた発信をするのか、その方向性を決めることが大切です。
次に、SNSのプラットフォームの選び方も重要です。Twitterはメッセージや画像を使った発信に適しており、その拡散力が売りです。Instagramはイラストや写真を中心に、YouTube、Tiktokは動画を通じた教育的なコンテンツに向いています。それぞれのプラットフォームの特徴を理解し、自分の発信内容に最も適したものを選ぶことが、効果的な運用の第一歩となります。
コンテンツがすでにある方はInstagramやYouTube、Tiktokでも良いですが、今すぐにコンテンツが用意できない場合はまずXを始めましょう。
また、SNS運用は継続が重要です。毎日ポストするのは最初は難しいと感じるかもしれませんが、ニュースや誰かの投稿へのコメント、引用ポストから始めてみましょう。何ヶ月か続けていると、習慣になり、ポストすることに抵抗を感じなくなります。
持続的なSNS運用のためのちょっとしたコツ
継続が重要だと説明しましたが、忙しい業務の中で、SNS運用を続けるためにはちょっとしたコツが必要です。
最初から毎日投稿するのができれば良いですが、無理して投稿する必要はありません。無理してダイエットを始めて三日坊主になってしまうのと同様、そういう方はXを続けるのが難しい印象です。
そこで、最初は2、3日に1回ポストをして、残りは誰かのポストにコメント、引用ポストを1投稿するようにしてください。これを続けていくと1ヶ月経つ頃には、ポストがいくつかたまっている状態です。最低でも1ヶ月で10個は蓄積されていると思うので、これを3ヶ月続けます。そうすると、3ヶ月で30個のポストが蓄積され、これを1日1つポストしても、1ヶ月間はポストが重複することはなくなります。
僕のポストをよく見ると、同じような投稿をしていますが、1ヶ月経てば忘れられていることも多いです。そして、ポストはEXCELやスプレッドシートを用いて管理すると効率的です。
慣れるまでは最初は大変ですが、ぜひポストを始めてみてください。