開業医で都知事選に出馬!大和行男先生

独自のキャリアを突き進む医師にインタビューする企画『わたしのキャリア戦略』。今回は、池上おひさまクリニック院長の大和行男先生にお話を伺いました。開業医をしつつ、今年の都知事選にも出馬されていた大和先生。クリニックのユニークな経営方法と、臨床・そして政治にかける思いを伺いました。


大和行男先生

児童精神科医、精神科専門医、精神保健指定医。東京大学教育学部を卒業後、会社員生活を経て、新潟大学医学部へ。初期研修終了後は精神科医になり、児童精神科を専門とする。現在池上おひさまクリニック院長。都政から子供の医療教育福祉を変えるため、2024年の東京都知事選に出馬。


大和先生、よろしくお願いします。はじめに、先生のご経歴について教えていただけますでしょうか。

東大病院で初期研修を行っていたのですが、ちょうどその時東日本大震災が起きました。そこで復興支援も兼ねて、後期研修は震災のあった山形県で精神科の後期研修を行いました。その頃は、福島や仙台から山形県に避難されてきた方が多かったですね。四年間の後期研修の中で、児童精神科の権威ある先生から週一回教えを乞うていました。そこで児童精神科に興味を持ったので、関東に戻り、埼玉、横浜、川崎の児童精神科病棟で研修を行いました。その後、現在の池上おひさまクリニックを開業したという流れです。開業をしたのは、医師9年目になります。現在は、医療法人でクリニックを八王子に一つ、個人のクリニックとして大田区に一つ持っています。

クリニックは少し変わった方法で経営されているとお聞きしたのですが、どのような方法なのでしょうか。

現在は、精神科、内科、小児科、皮膚科まで幅広く診ています。今ですね、看護師さんなどを雇わずに1人でやっているんですよ。いわゆる、ワンオペってやつです。休日なんかは、院内調剤も1人でやっています。50人くらいまでの外来だったら1人でも可能ですね。今1人でやっているのは、全国でも例がないみたいです。自分の専門から少し外れている皮膚科などは、ツテのある専門医の先生から勉強しながらやっています。

ちなみに「おひさまクリニック」という名前にされたのは理由があるんでしょうか。

精神科のクリニックって、「〇〇心のクリニック」や「〇〇メンタルクリニック」というクリニックが多いんですけど、それだと患者さんの一定数が「自分の心が悪い」と言った印象を受けて、嫌がってしまうんです。「おひさまクリニック」だと、特別精神科という感じもないですし、患者さん目線では通いやすいですよね。

そうなんですね。続いて、先生が今回の都知事選に出られたきっかけを教えてください。

実は、児童精神科というのは、福祉と教育の領域と深く関わっていて、例えば不登校で学校を休む場合だと休学診断書を精神科が書くんですよ。成人で働くことができなくなった場合の障害年金の申請だと、精神保健指定医という資格が必要になるんですけど、こういった仕事をしていると結構行政と絡むんですよね。児童精神科を見ることができる医師は少ないので、患者さんがたくさんきて、もう自分1人では見切れないわけです。そこでこう思い切って都知事選に出ることで、正直都知事にはなれると思ってなかったんですけど、子どものための教育・医療・福祉を政策の全面に打ち出した候補者が1人いてもいいかなということで出馬させていただきました。ちなみに、全候補者の中で一番初めに出馬表明をしたのが私です。

都知事選では、テレビでよく見るような演説もされたんでしょうか。

そうですね。開業医を週6でやっていたので、朝の早い時間に最寄りの池上駅でマイクを持って演説していました。NHKの政見放送と、ニコニコ動画にも出演してきました。今回の都知事選では、変わった候補者の方が多かったんですけど、その中でも私は真っ当にしてたので、ニコ動では「大和すげー真面目だな」みたいに言われてましたね(笑)。

都知事選に出るための条件とかはあるのでしょうか。選挙後の反響はありましたか?

一応供託金をお支払いするのと、履歴書の提出ですね。供託金とホームページの制作含め、400万くらいかかりました。でも、ビラとかはあまり使わなかったので、これでもお金がかかっていない方です。推測ですが、今回話題になった石丸さんなんかは2億、3億使っていたと思いますよ。

選挙後は、休日夜間診療していると、「都知事選出てましたよね?」と声をかけてくれる患者さんが増えました。私の存在を認知してくれたのでしょう。掲げていた政策にも共感してくれる保護者の方は多かったですね。次は東京都議会選挙への出馬も考えています。

今後の先生の展望を教えていただけますでしょうか。

お医者さん向けの政治塾を作っていきたいなと思っています。医師と勤務しつつ、政党に頼らず、政治にチャレンジできるような塾です。もしダメでも、また臨床に戻れるわけだから、無職にはならない。そこがお医者さんの良いところだと思います。今は医師会の力が弱っていて、診療報酬もどんどん下がっている。特に今回の診療報酬改定は、生活習慣病の加算が変わったのが痛かったようです。経営が厳しくて倒産しているクリニックも増えているので、知名度やWebに強くて俺は絶対成功できる!っていう先生じゃないと、新規開業は難しいと思います。

今のうちのクリニックの患者さんは0歳から30代くらいの患者さんが多くを占めています。やっぱり。若い方の診療をしていると、若い方からエネルギーをもらえるんです。これからも診療を通じで、自分自身も充実させていきたいですね。

ありがとうございます。最後に、これからキャリアを作る若手の先生にメッセージをいただけますでしょうか。

今までのキャリアだと、保険に行くか、美容に行くかの大きく二つしかなかったと思うんです。しかし、最近だと副業を頑張ったり、スタートアップを始めたりするキャリアも出てきています。私の元にも、大学生でスタートアップを始めたり、いわゆるSNSで300万フォロワーとかいる子が事業の相談に来てくれます。私は新しいことにチャレンジするのは素晴らしいと思っています。しかも、医師の場合は医師免許という保険もあります。最強のライセンスではないかなと思っています。医師免許を保険にしながら、起業するとか、臨床で専門性を極めるとか、研究に打ち込むとか、政治を目指すとか、好きなことにチャレンジしてほしいですね。

私としては、政治家になる医師も増えてほしいなと思いますね。そうなると、医師の待遇や働き方改革などももっと真っ当なものになるかなと思ってて、それを実現させていきたいなと思っています。

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